自然豊かな黒姫高原のペンションでパワーチャージと思い出づくり

黒姫山の東側の斜面に広がり、妙高戸隠連山国立公園にも指定されている黒姫高原。1966年に黒姫高原スキー場が開発されて以来、恵まれた自然環境を生かしたさまざまな観光業が展開されてきました。
1980年以降はスキー客が急増。1987年には映画『私をスキーに連れてって』の大ヒットがスキーブームにさらに拍車をかけ、1990年代に入ると黒姫高原では県外からの移住者を中心に続々と新たなペンションがオープンしました。現在は時代や需要の変化に応じて、約20軒のペンションがおもてなしを大切に、多彩なサービスを展開しています。

 

ところで、ペンションに泊まる魅力ってどんなところにあるのでしょう? それは、ずばり個人運営ならではの手厚いホスピタリティです。宿泊者とオーナーの距離感が近いので、ほかの宿泊者も交えて皆で一緒に食事をしたり、リビングでくつろいだりと、アットホームで温かい空気を感じることができます。また、地域の名物や家庭料理が味わえたり、地元の詳しい話を聞けるといったメリットも。
一方で、それゆえに、オーナーの個性や人柄が気になるところではあります。

そこで、今回は2軒の個性豊かなペンションオーナーから、それぞれの特徴や魅力、おすすめの過ごし方などをお聞きしました。

ログペンション セシルクラブ

 

地元食材をたっぷり使ったコース料理が自慢のログハウス

まずご紹介するのは、黒姫高原の閑静な林の中にある「セシルクラブ」。丸太を組み上げたログハウスのペンションで、四季折々の地元食材を使用した和洋折衷のフルコース料理と焼きたての手作りパン、ゆったりとしたお風呂が楽しめる温かい宿です。

 

迎えてくれるのは、穏やかな雰囲気が漂うオーナーの水野洋さんご夫妻と3代目看板犬のピレネー犬「チャオ」。初代看板犬「パオ」と、2代目看板犬「チロル」から一文字ずつ取り、イタリア語でコンニチワの意味もある「チャオ」と名付けられました

「初めて訪れるお客さまは緊張していることもありますが、アットホームな小さな宿なので、リラックスして過ごしていただけるようにお茶を出しながら少しずつお話し、お迎えしています」と水野さん。

 

快適に過ごせる空間づくり

食堂も兼ねるカントリー調のウェルカムルームにはパチパチとはぜる薪ストーブがあり、部屋中がやさしい暖かさに。ドリンクコーナーではセルフサービスでコーヒーや地元健康茶などを楽しめ、一角にはベランダを改装したプライベート空間もあります。

客室は2階で、全5室。木の温もりがあふれるシンプルな空間で、それぞれにトイレ・洗面台が付き、1部屋以外は全てバス付き。タオルやアメ二ティも用意されています。

各部屋には自由に感想が書き込めるノートも。寄せられている声から、宿泊者の満足度がうかがえます。

また、最近はペットと宿泊したいというニーズも増えているため、無駄吠えをしない、躾ができているといった条件付きで、11組のペット連れの宿泊も受け付けているそう。このほか、交通に関しては駅や町内の観光地への無料送迎も行なっています。

 

手間をかけた、こだわりのお食事

そんな「セシルクラブ」の一番のこだわりは食事。夕食は地元のおいしい食材を使った和洋折衷のコース料理で、前菜2品とスープ、魚料理、肉料理、デザートのフルコース。自家製味噌やペンション仲間で造る醤油など調味料にもこだわり、体にやさしくヘルシーな料理を心がけています。

冬の時期のおすすめは、大根や白菜、カブを使った料理で、特に白菜やカブのスープは好評だそう。また、魚料理は黒姫高原にあるイワナやニジマスの養殖場から毎日鮮度のいい魚を仕入れているほか、ときには野尻湖のワカサギが提供されることもあります。

なお、事前に記入してもらう宿泊カードではお客さまの食事の好き嫌いを聞き取り、希望に応じた食材を使う配慮もしているのだそう。

また、最近は親子3世代で宿泊するご家族も増えており、家族連れや小さなお子さま連れが安心して滞在できることも重視。子ども用の食事はワンプレートに手作りハンバーグやコロッケ、カレーなど子どもの好きなメニューを盛り合わせ、手作りケーキや飲み物もセットにしたキッズプレートを用意しています。

また、朝食に提供している焼きたてパンもファンが多いメニュー。最近はパン製造の免許も取得し、パン屋も始めたそうで、黒姫駅での販売や個人客からの受注、イベントでの出張出店もしています。

それゆえに、食事に惹かれて訪れるリピーターも少なくないのだそう。

 

2種類の個性豊かなお風呂も魅力

さらにお風呂も自慢です。ひのき風呂とジャグジーバスの2種類があり、スキーで疲れて冷えた体をゆっくりと暖めることができます。「私自身、宿泊先で魅力を感じるのは食事と風呂なので、このふたつには力を入れています」と水野さん。トンネルを抜けるアプローチも面白いひのき風呂は20196月に改装予定で、趣のある雰囲気はそのままに、新たなひのきで生まれ変わります。

そんな水野さんが「セシルクラブ」を始めたのは1992年。名古屋市で生まれ育ち、大学卒業後は「将来、自分の店をもちたい」との夢を描いて外食産業に就職しました。そして、接客や食事について学んだ後、信濃町の黒姫高原には冬のスキーや夏のコスモスなどの観光があり、俗化されてない素朴な雰囲気にも魅力を感じたことから、水野さんは移住して本格的に「セシルクラブ」でペンション経営を始めました。当時はヨーロピアン調のペンションが多かったなかでログハウスにしたことは、非日常感を味わえるとお客さまに喜ばれたのだとか。

「この仕事の醍醐味は、緊張してやってきたお客さまが笑顔で『また来たい』と帰っていく姿を見ることそうしたお客さまが実際にまた戻ってきてくれることも大きな喜びです」と話す水野さん
また、「どうしても水野夫婦に会いたい」と話す90歳近い母を遠路はるばる連れてきてくれた息子さんや、病気のため余命わずかと宣告されながら友だちとの旅行先として「セシルクラブ」を選んでくれた女性、「プロポーズをしたい」と男性から相談を受け、水野さんがキューピッド役を務め、結婚後は毎年記念日として訪れてくれるご夫婦など、さまざまな人との出会いが水野さんのやりがいになっています。

「お客さまの人生の1ページに自分たちがいい形で関われることが楽しいですね。第二の我が家として、田舎の祖父母の家に遊びに来ているような感覚でくつろいでいただけたらうれしいです(水野さん)」

ログペンション セシルクラブ

 

026-255-6180

 

http://www.cecilclub.com

ペンション風のうた

オーナー夫妻の飾らないユニークな人柄も魅力

京都府出身のご主人と島根県出身の奥さまが営む明るい雰囲気の宿で、自然に寄りそった豊かな時間を過ごすことができます。

客室は和室が2部屋、洋室が4部屋あり、家族づれや団体客に人気なのは、冬にコタツが用意される和室。

廊下やリビングに飾られている絵や写真は常連客の作品だそうで、いかに常連客に愛されているかが伝わってきます。

 

「ゆったり、のんびり、居心地がいい

オープンは1990年。大阪で約20年間サラリーマン生活を送っていたご主人が「山で静かに暮らしたい」という昔からの願望を叶えるべく、ペンションデベロッパー主催の講座で約半年間ペンション経営について学び、子どもの中学進学と合わせて、当時保育士として働いていた奥さまとともに黒姫高原に移住し、「ペンション風のうた」を立ち上げました。

黒姫高原は「静かな環境で自然がそのまま 残っていると ころに惹かれました」と奥さま。

黒姫高原以外にも斑尾高原や白馬、赤倉温泉や軽井沢、そして奥さまの実家がある島根県の大山なども検討しましたが、黒姫高原の素朴さが一番気に入ったそう。そして実際に暮らし始めると、大阪に比べて四季がはっきりしているところにも魅力を感じたそうです。

店名の命名も奥さま。「大阪ではいろいろな音に耳が慣れていましたが、ここではあまりの静けさにカサカサという葉っぱの音しか聞こえず、『風』という文字を付けたいと思いました」と話します。

そんな「風のうた」のキャッチフレーズは「居心地の良さとおいしい食事」。オープン当初からこの思いを大切に、お客さまに「ずっとここにいたい、また来たい」と感じてもらえる空間づくりを心がけてきました。

そのためにリビングの一角にくつろげる座敷空間を設けたり、フリードリンクコーナーを設置し、自由に過ごしてもらえる雰囲気をつくっているのだそう。

また、特に冬はスキー場の利用客が多く、早朝に到着したり夕方に帰る宿泊客も多いことから、チ エックイン・アウトの時間を柔軟に対応しているのも特徴。駅や観光地への送迎も無料で行っています。

 

地元食材を使った手作り料理

さらに提供する料理は旬の地元食材を使い、旅先でもたっぷりと野菜を摂れるように調理しています。「信濃町は水や土がよく野菜や米がおいしいので、そのままの素材のおいしさを提供したい」と奥さま。

キッズメニューは幼児用のワンプレート「お子さまランチ」と、小学校低学年向けに量を減らした「子ども食」があり、アレルギーにも気を配っています。

 

グリーン・ツーリズムを楽しむツアー

「風のうた」の何よりの特徴が、お客さまの要望に応じてきのこ狩りや山菜採りといったツアーを催行していること。いずれもリピーターが7割を占める人気ツアーで、特に最近は若者と家族連れのきのこ狩りのニーズが増えているそう。山道を通るので小学校高学年からの参加としていますが、家族以外に参加者がいない場合は低学年の子どもも参加可能。採ったきのこは宿で調理して食べるほか、持ち帰ることもできます。

山菜は雪の下のふきのとうから始まり、こごみやウド、ワラビ、コシアブラのほか、根曲がり竹が採れるところもあるのだとか。

「昔から家族で来ていた子どもが大人になり、結婚して新たにできたご家族を連れてきてくれることもあります。大人になっても「風のうた」を覚えていてくれることがうれしいですね」

こう話す奥さまが年に1回郵送しているニュースレター「風のたより」も、リピーターの胸に刺さっているようです。

このほか、夏休みには夕食後に夜の森に出かけるカブトムシ捕りツアーや、ホタルの名所案内を開催。カブトムシ捕りは20年以上続く人気ツアーで、子どもたちより張り切るお父さんも多いとか。
冬はスノーシューツアーを開催し、冬しか行けない森の中を歩いたり、アニマルトラッキング(動物の足跡)を見つけるといった楽しみを提供しています。また、冬は庭でかまくらや雪像を作って楽しむ人も多いそう。こちらも暗くなるまで楽しんでいるのはお父さんだそうで、子ども心を思い出させてくれるペンションと言えます。

ちなみに、ご主人は定年退職後にスキーを楽しむ宿泊者に刺激を受け、60歳からスキーを本格的に開始。黒姫高原のスキー検定も受け、2級まで取得しました。

 

お風呂や足湯も人気、リビングでは音楽やレクリエーションも

さて、こうした冬の冷えた体を温めてくれるのは、麦飯石を使った24時間入浴可能なお風呂。あるときにはアトピーに悩む中学生が修学旅行で訪れ、あまりのお湯のよさに後日、ご両親を連れて再来したこともあったのだとか。

さらに、庭には春から秋に使える大きな足湯もあり、夏には足湯に入りながら携帯電話で生ビールのお代わりを注文してくる人もいるそうです。ご主人は昔からは「町に温泉がほしい」と活動を続けていて、薪ストーブを使った移動用の足湯も開発。イベントでの足湯の出張出店も行い、好評を博しています。

なお、ご主人が披露する皿回しも子どもたちの密かな人気で、練習して習得する子も少なくないそう。このほか、リビングには毎年調律されているピアノがあり、夕食前後には宿泊客によるプチコンサートが開かれたりもしています。

ローラーベッドやトレーニングマシンを設置したフィットネスルームも人気で、冬はスキー前後にこの部屋でストレッチをする家族連れも少なくないそう

「信濃町は一茶やナウマンゾウなど、文化的・歴史的なものがありながらも自然が豊かで水がおいしく、ゆったりと過ごせるところが魅力です。自然のなかを歩けば、車で走っているときには見えないものも見えてくるので、体で自然を楽しんでもらえたらいいですね(奥さま)」

なお、ペットの宿泊は基本的にNGですが、屋外空間であるテラスの上や下であれば宿泊可能です。

ペンション風のうた

 

026-255-5843

 

http://www.kazenouta.jp/index.html

 

まとめ

このほかにも、まだまだ個性豊かで魅力的なペンションが並ぶ黒姫高原。家族でゆったりと滞在するだけで宿も土地も好きになってしまうような、きめ細かく温かなおもてなしがどのペンションにもあふれています。

また、自然豊かな景色はもちろん、冬の真っ白な世界や春の新緑、夏の青空、秋の紅葉……と、季節とともに移ろう黒姫高原の風景も体験してほしいもののひとつ。家族の旅の素敵な思い出のひとときを、黒姫高原のペンションからつくってみませんか。

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